ハナチョウジ
 本土には無い、沖縄の独特の景色に「石敢當」がある。詳しくは、いずれ別項で述べるが、「石敢當」は風水思想からくる一種の魔除けであり、悪い気を左右に散らすという意味があるらしい。道の突き当たり、T字路の突き当たる辺りに置かれている。
 であるが、何故、T字路を「ティージロ」などと言ったりしているのか、ふと疑問。
 十字路が十字であるから十字路、っていうのは分かる。T字路はなんでT字路っていうんだろう。T字路に相当する日本語が無いのであろうか。と思って調べると、あった。T字路のTに相当する日本語は、たぶん(学問的に調べたわけでは無い)「丁」の字。
 ウチナーグチ(沖縄口)のタ行は「タ、ティ、トゥ、テ、ト」なので、ティージロは言いやすい。が、倭人はテージロと発音するであろう。そうなのである。きっと、その昔はT字路のことをテイジロ(丁字路)と言っていたのである。日本人も昔から西洋かぶれなんかでは無かったのである。テイジロがテージロと江戸っ子訛りとなっただけである。

 ハナチョウジは、花の形が丁の字に似ているからその名があるらしい。その名前を付けた人は日本人の誇りを持った人であったのだ。けしてハナティージ(花T字)にしようなどには思わなかったのである。まあ、その頃はTの字の存在も知らなかっただろうが。

 ハナチョウジ(花丁字):添景
 ゴマノハグサの常緑低木。原産分布はメキシコ。方言名:なし
 茎が細く自然に垂れ下がるので、高さは1mほどに留まる。池の傍に植えて、水面に顔を覗かせるような景色、または花壇の縁などに植えて、花壇の立ち上がり部分を覆う景色にすると見栄えが良い。公園などの法面緑化などにもよく利用される。
 陽光地を好み、日の当るところでよく花を咲かせてくれる。花は筒状の紅色の花。茎の先端にまとまって付く。いっぺんに多く咲かせるので、紅色の見事な景色となる。その花の形が漢字の丁の字に似ているので花丁字(丁子とも)という名。開花期は周年。
 ちなみにチョウジ(丁子・丁字)は、これとはまったく別の植物。

 花

 白花

 ちなみに、
 チョウジ(丁子・丁字)
 フトモモ科の熱帯常緑高木。原産はモルッカ諸島。
 英語名でクローブ(clove)という。こっちの方が名前としては知られているかもしれない。古くから生薬・香辛料として利用された。果実からは油も採れる。
 記:島乃ガジ丸 2005.8.4  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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