ハマヒサカキ
 植物の名前の由来に興味はあるが、これがまた、学問的にきちんと調べようとするとなかなか面倒なことで、ウチナーンチュの”テーゲー(大概)”精神が深く染み込んでいる私には難しい仕事である。ところが、学問的でなく、「テーゲーでいいよ」ということになれば、これは私の好物となる。テキトーに物を考えるのは楽しい。
 ハマヒサカキの方言名を調べるとインギーマ、及びイヌックヮギーマとあった。インはウチナーグチ(沖縄口)で犬のこと。よって、インギーマは犬ギーマ、イヌックヮギーマは犬の子ギーマということになる。おそらく、ウチナーグチでも名前にイヌとつくと、いくらか劣ったものという意味になる。で、インギーマはギーマに似ているが、それより価値が劣ったものということであろう。以上は”テーゲー”による考えであるが、たぶん当たっていると思う。間違っていたらごめんなさい、です。
 なお、ギーマはツツジ科で、ブルーベリーと同属の常緑低木。

 ハマヒサカキ(浜柃):添景・生垣
 ツバキ科の常緑中木 原産分布は本州中部以南、南西諸島、他 方言名:インギーマ
 サカキがあって、ヒ・サカキがあって、ハマ・ヒ・サカキがある。『沖縄植物野外活用図鑑』によると、「サカキに比べ小型なので姫サカキからヒサカキ」とあった。ヒサカキは山地に自生する。本種は海岸に自生するのでハマ(浜)ヒサカキとなっている。三者ともツバキ科であるが、サカキは別属で、ヒサカキとハマヒサカキは同属。 
 高さは5mほど。自生地がそうであるように耐潮風性が強い。耐陰性もあり、土壌を選ばず、乾燥地でも成育する丈夫な植物。花は特に目立たないが、開花期は2~3月。
 成長は遅く、強い刈込みにも耐えるので、玉作り、生垣に向く。文献では中木に分類されていたが、背の低い生垣をよく見るので、ガジ丸では低木に入れた、
 同属には、屋久島にしか自生しないヒメヒサカキというものがあるらしい。ヒサカキの名前の由来が姫サカキであるならば、姫姫サカキということになる。見てみたい。別属だがヒメハマヒサカキというのもあり、本種に似ているらしい。琉球列島には葉の形状などに変異が多く、テリバヒサカキやマメヒサカキと呼ばれるものもあるとのこと。

 ヒサカキ(柃)Eurya japonica Thunb.
 ツバキ科の常緑低木 原産分布は本州以南、南西諸島、他 方言名:イヌクヮギマ
 照葉樹林中に多く、沖縄では松林などの二次林にみられるとのこと。高さは3メートルほど。サカキは神木され、その枝葉を神前に供えるが、本種の葉をその代用にするようである。材は硬く、細工物や建築材に用いられる。

 サカキ(榊・賢木)Cleyera japonica Thunb.
 ツバキ科の常緑高木 原産分布は関東以南、南西諸島、台湾、他 方言名:不詳
 高さは、大きいものでは15メートルほどにもなる。古くから神木され、その枝葉を神前に供える。材は細工物や建築材に用いられる。
     
 記:島乃ガジ丸 2006.9.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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