ギイマ
 3週前にリュウキュウアセビを紹介したが、その写真は近所の民家の庭にあった鉢物を今年の3月から4月に撮ったもの。その家の人が庭にいれば、「写真撮らせてもらえませんか?」と声をかけるのだが、写真1枚撮るのにわざわざピンポンするのも面倒だし、相手も迷惑だろうと思って、離れた位置から撮る。不鮮明な写真となった。
 それから数日後だったか2、3週間後だったか、リュウキュウアセビのある家の、その手前の家にもリュウキュウアセビらしき鉢物があることに気付いた。そこのはさらに道から離れた場所にあったが、いちおう写真を撮る。写真1枚撮るのにわざわざピンポンするのも面倒なので、離れた位置から望遠で撮る。不鮮明な写真となった。
 その植物がリュウキュウアセビなのかどうか後で写真を確認すると、花の形は写真が不鮮明でよく判らなかったが、葉の形がどうも違う。リュウキュウアセビの葉は細長いが、これは丸っこい。で、図鑑を調べる。ギイマという植物があった。

 図鑑の写真を見ると、ギイマとリュウキュウアセビは葉の形も違うが、花の形も少し違っていて、花柄の長さが大きく違う。リュウキュウアセビの他に、シャシャンボという似たような植物があるが、シャシャンボは、葉の見た目はギイマだが、花柄はリュウキュウアセビのように短い。倭国にあるドウダンツツジがギイマによく似ている。

 ギイマ(ぎいま):添景・盆栽
 ツツジ科の常緑低木 奄美以南の琉球列島、台湾に分布 方言名:ギーマ
 『沖縄植物野外活用図鑑』に「ギイマの名は沖縄の方言名がそのまま和名として用いられたものです。」と名前の由来があった。が、沖縄名のギーマは何の意味か不明。
 花の付き方はアセビに似ている。「枝から総状花序を出し、小さな白色の花を多くつける。花は下向きに咲く。」まではアセビと一緒。花の形が、アセビが鈴状なのに対し、本種は壷状となっている。開花期は3月から5月。
 アセビとは葉の形状で区別が付きやすい。アセビは細長く、本種は卵円形。卵円形ならばドウダンツツジの方に近いのかと思って、学名を調べる。
 ギイマVaccinium wrightii A.Gray
 ドウダンツツジEnkianthus perulatus
 アセビはPieris japonica subsp. japonica。互いに別属であった。Vaccinium(スノキ属)にはシャシャンボがあって、それはギイマと良く似ているらしい。が、未確認。
 幹は直立し、高さは2〜4mほどになる。陽光地を好み、乾燥に強い。リュウキュウアセビほどでは無いみたいだが、沖縄島南部の石灰質土壌では生育が悪いとのこと。
 果実は11月から12月に紫黒色に熟し、食用となるらしい。それもそのはず、ブルーベリー、ハックルベリーなどが同属(スノキ属)となっている。

 花

 花の群れ

 ドウダンツツジ
 記:島乃ガジ丸 2008.8.10  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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