ブルーエルフィン
 真夏の炎天下、連日肉体労働を続けていた2007年、肉体労働の現場は主に南城市近辺であった。南城市近辺もいろいろあるが、旧地名でいえば玉城村、東風平町、知念村、佐敷町、具志頭村などなど。那覇に比べればずっと田舎である。
 田舎には畑が多くあり、原っぱも多くある。肉体労働で疲れていたが、昼休みになると近くの原っぱや公園を私は散策した。そして、初対面の動植物にいくつか出会った。
 今回紹介するブルーエルフィンは野生種では無い、栽培植物である。また、田舎でないと育たないというわけでもない。であるが、私がよく散歩する首里近辺の民家の庭や、那覇市のいくつかの公園では見たことが無く、田舎の原っぱと公園で3度見た。
 花がきれいで特徴もあるのだが、見つけて、写真を撮ってから2年半、何者であるか判らずにいた。参考にしている文献に似たものが無かったからだ。
 参考文献の一つに『沖縄園芸植物大図鑑』というのがある。これは1980年発行と古いので、参考文献の中では参考にする機会は少ない。が、先日、試にと1ページからじっくりと見ていった。すると、あった。似たような、というか、これでほぼ間違いないという花の写真が。名前はクチムラサキクサギとあった。

 ブルーエルフィン:添景・花木
 クマツヅラ科の常緑低木 東アフリカ原産 方言名:なし
 名前は英名だと思われる。ブルーは青、エルフィンは「小よう精の(ような)かわいくていたずらっぽい」(学研英和辞典)とのこと。その通りと納得できる花。
 『沖縄園芸植物大図鑑』にはブルーエルフィンという名前はなく、クチムラサキクサギ(口紫臭木)という和名で載っていた。意味は理解できるが、口が紫色で息が臭いと連想してあまり良い感じを受けない。「悪戯好きの小さな青い妖精」はイイ感じ。念のためネットで調べてみると、クチムラサキクサギは無かった。私と同じく良い感じを受けなかった人が多くいて、和名として定着しなかったのであろう。
 高さは1〜2m、枝先に花茎を伸ばし円錐花序をつくる。花は下方の1弁が濃紫で、他は淡紫、長さ2センチほどの蝶形。開花期についての記載は無いが、ネットのサイトでは5月〜9月、または、7月〜10月とあった。私の経験では1月も咲いていた。沖縄ではほぼ周年咲いているのかもしれないが、未確認。ここでは5月〜1月としておく。
 口紫臭木という通り、イボタクサギ、ヒギリ、ゲンペイカズラ、クラリンドウなどと同じクサギの仲間。ちなみに学名は、Clerodendrum ugandense Prain

 花
 記:島乃ガジ丸 2010.2.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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