ベニバナインドソケイ
 大学の頃、教養課程の第二外国語はフランス語にした。教養課程は概ね1年、2年で取得するべき単位である。教養課程では他に数学などもあった。数学は問題なかったが、フランス語を、私は5年(留年したので)まで残した。
 1、2年で単位が取れなかったのは、ほとんど授業に出なかった(代返させたので出席日数は足りていたと思う)ため、テストの点数がまるでダメだったからだ。大学は文学部ではあり、高校は文系であった私だが、理系は元々得意だったので、数学も授業には出ていないが、テストでは良い点が取れた。語学は、英語も苦手であった。
 語学の苦手な私が、5年の時、フランス語を真面目にやった。今年こそは卒業しようと思ったからだ。お陰で、メルシーボークー、シルブプレ、ボンジュール、ボンソワール、マダム、マドモワゼル、ムッシュなど今でも覚えている。

 前にインドソケイを紹介した時、その方言名がフランギニハであり、意味は不明と書いたが、今回ちょっと(ホントにちょっと、10分ほどかけて)調べてみた。
 フランギニハのギが木、ハが葉と充てられることからフランにも方言の、何らかの意味があるのだろうと、沖縄語辞典を引く。フラー(馬鹿者という意味)はあるが、フランは無い。ならば、英語名かもと思って英語辞書を引く。frangibleというのがある。「折れやすい」という意味。インドソケイの枝は折れやすい。ここからきているのかもしれないと思ったが、フランギニハと発音されるような単語は無い。
 沖縄語辞典にも、英語辞書にも、フランの近辺にフランスという言葉がある。そこではたと気付いた。フランギニハは方言でも英語でも無く、フランス語に違いないと。ところが、私の部屋にフランス語辞書は無い。大学の頃使っていた辞書はとうの昔に処分している。よって、フランス語に違いないという私の判断が当たっているかどうかは不明。

 ベニバナインドソケイ(紅花印度素馨):添景・花木
 キョウチクトウ落葉低木 原産分布は熱帯西アメリカ 方言名:バンカ
 インドソケイ(プルメリア)と呼ばれるものは白色、または黄色花の中木で、本種はその基本種。公園や民家などに多く見られるのはインドソケイの方。
 基本種こそインドソケイと名付けて、白色や黄色花のものをシロバナインドソケイ、キバナインドソケイと名付けるのが本筋であろうと思うのだが、おそらく、日本に入ってきた順ということであろう。本種は、花色が赤いのでベニバナとつく。
 ソケイは素馨と書き、モクセイ科の常緑低木でジャスミンの一種、花に芳香がある。本種は別科であるが、同じように花に芳香があるということでソケイとつく。
 方言名のバンカは、『沖縄の都市緑化植物図鑑』にあり、播花という字が充てられている。播は、種を播くの播で、平らに広がるという意味がある。本種は枝を横に広げる。
 花には芳香がある。ハワイではレイフラワーに用いられるとのこと。多種の園芸品種があって、花色は淡桃色〜赤色、基本種は赤。開花期は7月から10月。
 高さ3m。排水良好でやや乾燥地を好む。樹冠が大きくなるので適宜の剪定を要する。
 学名は、ベニバナインドソケイPlumeria rubra L.
 インドソケイPlumeria rubra L. f. acutiforia

 花
 記:島乃ガジ丸 2009.1.31  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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