アツバノボタン
 近所のスーパーにもっこり玉子(新鮮な玉子という意)があって、愛用というか、愛食しているのだが、ここ二ヶ月近くはお目にかかっていない。新鮮で美味しいのに数が少ない、ということで、すぐに売切れてしまうのであろう。それまでそのスーパーへは週1回ほど通っていたのだが、もっこり玉子欲しさに、ここ一ヶ月は週に2回通っている。しかしながら、一ヶ月経っても、もっこり玉子はまだ入手できていない。

 そのスーパーのすぐ近くに、小さな病院(診療所というのだろうか?)がある。新しい病院だ、去年できたと覚えている。その病院の玄関前に小さな花壇があって、そこで今年の冬、シャガを発見し、このHPで紹介している。今年の6月には、そこでアツバノボタンを発見し、写真を撮った。アツバノボタンと知って、撮った。
 じつは、アツバノボタンは近所の民家の庭にあり、これまでに何度も見ている。私はずっと、それをシコンノボタンと混同していた。ものごとを大雑把に捉えるという性格のなせる業である。それが違うものであるということにやっと気付いたのだ。近所の民家のものは、近付くことができないので、病院の花壇のものをカメラに収めた。
 シコンノボタンはアツバノボタンより葉は一回り小さい。アツバノボタンはその名の通り葉に厚みがある。花の付き方も違うなどということを知った。
 ちなみに、アツバとかシコンという形容の付かないノボタンは、九州南部以南、台湾、フィリピンに分布し、沖縄島北部の原野に自生するとのこと。私はまだ見ていない。

 アツバノボタン(厚葉野牡丹):添景・鉢物
 ノボタン科の常緑低木 ブラジル原産 方言名:なし
 全体がノボタンに似て、葉に厚みがあるのでアツバノボタン(厚葉野牡丹)となる。葉が厚いだけで無く大きくもあるので、別名をオオバノボタンという。ノボタンとは同じノボタン科だが属は違い、花が濃い紫色をしたシコンノボタンと同属。ということで、オオバシコンノボタンという別名もある。ちなみに、学名は、
 シコンノボタンTibouchina urvilleana (DC.) Cogn
 アツバノボタンTibouchina grandifolia (DC.) Cogn
 ノボタンMelastoma candidum D. Don
 花もきれいだが葉にも観賞価値がある。葉はビロード状の毛がついていて、柔らかい感じがする。灰緑色をしていて、15〜20センチと大きく、厚みがあり、美しい。
 高さは1〜3mほどに留まり、庭の添景として使いやすい。陽光地、排水良好、風の弱い場所を好む。根元から多く枝を出し、その枝先に花をつける。剪定して分枝を多くすれば、花数も多くなって見事な姿となる。色は紫、開花期は6月から8月。

 花
 記:島乃ガジ丸 2008.7.8  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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