アオガンピ
 アオガンピとミズガンピ、どちらも海岸近辺に生育し、名前もよく似ている。が、アオガンピはジンチョウゲ科でミズガンピはミソハギ科。ガンピはジンチョウゲ科の落葉低木で、アオガンピと同じく黄色い花が咲く。ミズガンピは白い花。
 ミズガンピは既に2年前に紹介している。写真はその半年前に撮っている。実はそれまで、アオガンピとミズガンピは同じ仲間だと思っていた。で、二つを一緒に紹介したいと思い、アオガンピをずっと探していた。半年経っても見つからなくて、結局ミズガンピを単独で紹介したのだが、その時に、両者が違う科であることを知った。
 半年も探していたお陰で、アオガンピの姿形は図鑑の写真からすっかり頭にインプットされた。なので、それ以降も海辺へ行く機会があった際は、常にアオガンピを気にかけていた。ところが、それから2年経ってもまだ出会えずにいた。
 先月(2010年2月)、金曜日の職場から車で10分ほどの場所にある公園を散策した。その公園は、東西の位置としては少々太平洋寄りだが、沖縄島のほぼ中央、海からは離れている。しかしそこで、全く予期していなかったのだが、アオガンピに会えた。
 沖縄島は細いので、ほぼ中央といっても、海から数キロでしかない。それに、アオガンピだって「海辺じゃなきゃあ嫌だ」ってほど頑固でもないのであろう。
 なお、ミズガンピの実は食べられるが、アオガンピの実は毒があるとのこと。

 アオガンピ(青雁皮):盆栽・添景・防潮風
 ジンチョウゲ科の常緑低木 沖縄、台湾、他に分布方言名:イシクルチャ、バウキ
 花が青いから青なのかと思ったら花は黄色、実が青いのかと思ったら実は赤色。ガンピという植物がある。それに比べてどこかが青いのか?などと考えていたら、『海岸植物の本』に「樹皮の模様が青雁(鳥の名)ににているところから」と由来があった。
 ガンピは上質和紙の材料として有名なジンチョウゲ科の落葉低木。本種もまた和紙の材料となり『海岸植物の本』に「和紙の王様と呼ばれている」とあった。
 高さは1mほど、多く分枝し灌木状となる。庭木としては、樹形が乱れやすいので適宜刈込む必要がある。海岸の岩場に自生し、耐潮風性は強い。海岸緑化に向く。
 小さな花が枝先に集まる。色は黄色、開花期は7月から12月。花後の実も赤く、観賞価値がある。結実期は11月から3月。ガンピ同様、樹皮の繊維は和紙の原料。
 分布は上記の他、フィリピンなど。方言名は上記の他、プカジィ(宮古)とも。

 花
 記:島乃ガジ丸 2010.3.7  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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