ヤンバルアカメガシワ
 一昨年の8月まで住んでいたアパートは首里石嶺にあり、徒歩30分圏内に末吉公園、弁が岳公園、首里城公園があり、散策場所としてよく利用していた。9月に宜野湾市に引っ越してからはいずれもご無沙汰している。ご無沙汰はその3ヶ所の公園だけでは無く、散策そのものをこの2年、ほとんどやっていない。
 それはさておき、首里城公園を散策する際、私には概ねお決まりのコースがあった。首里城内は入園料が必要なので入らない。その周りにある龍潭(池の名)から首里城城壁の外を巡る散策路を歩き、首里駅方面の鳥堀へ抜け、そのまま家路というコース。

 龍潭を抜け、首里城を右手に見たまま城壁沿いに歩いて、階段を上って首里城を後ろに見る辺り、階段を上りきった辺りに、葉に特徴のある木が立っている。葉に深い切れ込みがあり、花札の桐の葉に似ている。2008年の5月に見つけ、写真も撮った。
 同じ年の7月には首里よりも南にある東風平で同じ木と思われるものを見つけ、花が咲いており、実も着いていたのでその写真も撮った。葉に特徴があり、花の写真も実の写真も撮っているのでその正体はすぐに判明しそうだが、時間がかかった。

 ヤンバルアカメガシワを紹介している図鑑は一つしかなく、その写真では私の撮ったものがそれであるという確信が持てなかったのだ。しかし、宜野湾市民図書館に良い資料があった。『やんばる樹木観察図鑑』、それには花の写真も実の写真も載っていた。

 ヤンバルアカメガシワ(山原赤芽柏):公園
 トウダイグサ科の常緑中木 沖縄島以南、台湾、熱帯アジア等に分布 方言名:タヒ
 名前の由来については資料がなく不明。アカメガシワは広辞苑にある。漢字で赤芽柏と書き「若葉が鮮紅色だからいう」とのこと。そのアカメガシワと同じトウダイグサ科で、見た目が似ているからその名が付いたと思われる。ただし、両者は別属。
 ヤンバルと付くが、『沖縄植物野外活用図鑑』には「海岸近くの石灰岩地域に多く見られる」とあった。石灰岩地域とは沖縄島だと南部で、ヤンバルではない。それなのにヤンバルと名が付いているのは何故だか不明。「海岸近くの石灰岩地域」である東風平で私は見ており、「石灰岩地域」である首里城公園の一角で見ている。
 高さは3〜8m、葉は長い葉柄があり、無分裂から深裂のものまである。葉柄が10〜25センチと長いのが特徴。若葉、花序などに淡褐色の星状毛が生える
 葉脇から円錐花序を出し、小さな花を密につける。色は帯黄白色、開花期についての資料はないが、私の写真は7月、ということで夏としておく。果実は球形で、ブドウのように房状に多く付く。色は緑白色。材は家具材などに利用される。

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2013.8.17  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
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