チョウセンアサガオ
 私のベッドの頭上は南向きの掃出し窓になっていて、そこからベランダに出ることができる。ベランダに出ると、既に紹介した大きなトベラの木がすぐ目の前にある。ベッドのすぐ傍、右手にある東向きの窓の向こうには4、5m離れて大家の建物があるが、寝ている状態の目の高さからは大家の家は見えない。観葉植物の鉢物としてよく見かけるヤドリフカノキ(シェフレラホンコン)が巨大化して窓の辺りを覆っているからである。
 今、右手の窓を開けると、景色はヤドリフカノキの枝葉とその上の空しか見えないが、すごく甘い匂いが漂ってくる。匂いの元はヤドリフカノキではなくキダチチョウセンアサガオ。姿はヤドリフカノキに隠れて見えないが、強い芳香を出すという花が、先月からもう一ヶ月以上も次から次と咲き続いていて、私の鼻を楽しませてくれている。

 キダチチョウセンアサガオと書いたが、実は、そうであるという確信は持っていない。『沖縄の都市緑化植物図鑑』に「この仲間には似た種類が多く、分類が難しい。」とあるように、文献によってピンクダチュラ、コダチチョウセンアサガオ、オオバナチョウセンアサガオ、モモイロキダチチョウセンアサガオなど、同じものでも違う名前で紹介されていたりする。専門家でもそうなので、私にはどれが何なのか良く判らないのだ。ただ、大家の庭にあるものはがく片が2弁に裂けているので、それが特徴であるピンクダチュラ(別名キダチチョウセンアサガオ)ということに、とりあえずはした。しかし、大家のとこの花は強い芳香があり、それはオオバナチョウセンアサガオの特徴でもあるらしいので、どちらなのか確信が持てないのである。

 キダチ、オオバナ、どちらのチョウセンアサガオも背はそう伸びない。2階から見ると巨大になったヤドリフカノキに大方は隠れてしまっている。また、その花は枝から垂れ下がって下向きに咲くので、下から見上げた写真が撮りたかったのだが、1階の部屋の住人はバツイチだが若い女性、黙ってその窓の傍まで行くのは気が引けて、下からの写真は撮れずにいる。しょうがないので、ヤドリフカノキの邪魔になっている枝を少し剪定して、2階から見た花の姿を撮った。

 キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔):添景・花木
 ナス科の常緑中木 原産分布はペルー 方言名:無し
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』にはオオバナチョウセンアサガオもピンクダチュラも別称として同じキダチチョウセンアサガオとあったが、ここではピンクダチュラの和名を木立朝鮮朝顔、オオバナチョウセンアサガオは大花朝鮮朝顔としておく。
 淡い黄色から、開花すると白色に変わるラッパ状の大きな花は枝先から垂れ下がるようにして咲く。花数も多く、大家の庭のものは強い芳香がする。開花期は5月から7月と文献にあったが、大家の庭のものは4月の初めから咲いていた。
 文献では低木として紹介されているが、庭で用いる場合は生垣や刈り込みとしては使いづらい。単独で添景として置くのが良い。陰地でも生育し花を咲かせてくれる。

 花

 オオバナチョウセンアサガオ(大花朝鮮朝顔):添景・花木
 ナス科の常緑中木 原産分布はブラジル 方言名:無し
 淡い黄色から開花すると白色に変わる。ラッパ状の大きな花。枝先から垂れ下がるようにして咲く。いっぺんに多く咲かせ芳香を放つ。等々、以上はキダチチョウセンアサガオと一緒。ただ、開花期は少し長くて5月から10月となっている。
 庭での使い方は他の仲間、コダチチョウセンアサガオ、オオバナチョウセンアサガオ、モモイロキダチチョウセンアサガオ、ニオイキダチチョウセンアサガオなども含めてキダチチョウセンアサガオと一緒。庭の添景樹として使い良い。

 全体

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.5.15  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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