タイワンモミジ
 私は概ね年に2回、旅をしている。その2回の時期も概ね決まっている。4月から6月の春の旅と9月から11月の秋の旅となっている。公共工事を請け負う建設関連会社に勤めているので、年度末にかけての数ヶ月は忙しく、休みがなかなか取れないのである。
 年2回の旅は、そのほとんどが本土(沖縄を除く他府県のこと)への旅。公共工事が3月いっぱいにすっきり終わったときは、春の旅を4月中に行うことができる。そうなった場合は、ソメイヨシノを観ることが旅の楽しみの一つに加わる。ソメイヨシノの見事な咲きっぷり、見事な散りっぷりは、沖縄の景色にはないからである。
 秋の旅が11月頃になる場合は、行く場所にもよるが、紅葉を観ることが旅の楽しみの一つになる。沖縄にも紅葉する樹木はあるが、その種類は少なく、辺り一面が紅葉に染まるという景色もまた、沖縄には無いからである。

 タイワンモミジなどと名前を聞けば、この木をたくさん植えて、秋の紅葉を楽しめる景色を沖縄にも作ってやろうという気になるが、タイワンモミジはモミジの仲間では無く、紅葉もしない。全体がモサモサした感じで、見た目にもモミジには遠い。

 タイワンモミジ(台湾紅葉):添景・鉢物
 ウコギ科の常緑中木 原産分布はポリネシアからインド 方言名:なし
 モミジとは漢字で紅葉、または黄葉(両者ともコウヨウとも読む)と書き、「秋に、木の葉が赤や黄色に色づくこと」(広辞苑)をいうが、別に「カエデの別称」(広辞苑)でもある。カエデ(槭樹・楓)はカエデ科の落葉高木の総称である。本種はウコギ科なのでカエデとは何の関係も無い。また、葉が紅いわけでも、紅葉(こうよう)するわけでもない。葉の形が何となくモミジ(ここではカエデのこと)に似ているからモミジとなったのであろう。文献に記載は無いが、南方系のという意味のタイワンなのであろう。
 成長は速いが、高さは2〜3メートルに留まる。夏季の直射日光に当たると葉焼けするが、陽光地でも半日陰でも生育する。耐陰性があるので室内観葉植物としても使え、その鉢物は人気があり、園芸店などで多く見かける。沖縄では地植えでき、庭木に使え、添景や生垣に利用される。乾燥させるとハダニが発生しやすいので注意する。

 葉
 記:島乃ガジ丸 2006.4.10  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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