オーロラコンロンカ
 私は、流浪の民のように世界中を旅するのは好みで無いが、帰る場所があっての旅は好きである。私の場合、帰る場所は沖縄。今住んでいる場所に帰れるなら、それは100%の安心である。沖縄島の他の場所であれば95%、奄美から与那国までのどこかであれば90%、倭国のどこかであれば80%くらいの安心を得られると思う。
 そういった、安心を得られる場所がいつでもあり、その場所にいつでも帰れるのであれば、・・・いや、それらに加え、健康を維持できる程度でいいから食うに困らない、雨風を凌げるのであれば、テントでもいいから寝場所に困らない、できれば、たまには酒が飲める、などといった条件が保障されるのであれば、数年間の放浪の旅をしてみたい。世界中のあちらこちらを歩いてみたい、などと若い頃は思っていた。まあ、いろいろ条件を付けているところからみてお解かりのように、そう大した情熱では無い。

 あいにく、私に金儲けの才能は無く、金を貯めるという才能もあまり無い。5年前に車を買おうと思って、長年コツコツと貯めた120万円が、私の貯金の最高額である。現在は、5年後に車を買い替えようと思ってコツコツと貯めているのが銀行に4、50万円ほどあるが、金を貯める能力は以前より劣っているみたいである。
 そんな私なので、今の仕事を辞めて数年間の放浪の旅に出る勇気は持てない。異国の地で野垂れ死にするか、運良く戻ってこれたとしても、浮浪者暮らしとなってしまう。
 でも、もしも、宝くじにでも当たって(買いもしないのに当たるわけ無いが)、放浪の旅に出ることができたなら、行ってみたい場所がいくつかある。アフリカの大草原で野生の動物たちを見てみたい。スペインへ行って、ゴヤの絵を間近で観てみたい。そして、雪の大地に寝そべって、酒を飲みながらオーロラを眺めてみたい。

 今回紹介するのは、そのオーロラを名前に冠したオーロラコンロンカ。

 オーロラコンロンカ(おーろら崑崙花):添景・鉢物
 アカネ科の常緑中木 園芸品種 方言名:なし
 コンロン(崑崙)については、既にコンロンカの頁で書いている。7千メートル級の山の連なりであるコンロン山脈から来ている。コンロンカの白色の額片をコンロン山脈の山頂の雪に喩えたものであろう。と、これは私の推測。
 オーロラはauroraと書き、ラテン語。南北極近辺の空に輝くあのオーロラのこと。そのオーロラは、ローマ神話にそのような名前の女神がいて、そこから来ているとのこと。本種は既に紹介済みのコンロンカと同属のフィリピンコンロンカの一品種。おそらく、花の付き方、咲き方が派手なところからオーロラと名づけられたのだと思う。
 フィリピンコンロンカはフィリピン、ニューギニアの原産であるところからその名がある。高さ3mほどで、半ツル性の常緑低木。濃黄色の小さな花に白い顎片がつく。
 コンロンカ類は花よりもその顎片に観賞価値があるが、本種もそうで、フィリピンコンロンカよりもさらに大きな顎片が純白色をしており、豪華できれい。
 沖縄では鉢植えのものをよく見かけ、そう高いものを見ないが、原産地では高さ5mにもなるらしい。花は黄色で小さい。白色の葉状の顎片が目立つ。枝の先端につく。

 花

 フィリピンコンロンカ
 アカネ科の半蔓性低木 フィリピン、ニューギニアの原産
 濃黄色の小花をつける。その花よりも顎片が大きく、白色の花弁状となり、目立つ。
 ちなみに、コンロンカの学名はMussaenda parviflora、
 フィリピンコンロンカの学名はMussaenda philippica

 モモイロコンロンカという種もあった。
 記:島乃ガジ丸 2007.2.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
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