キミガヨラン
 植物を紹介するホームページで、こんなこと書くのはいかがなものか、私は暴力反対主義者なので、こんなこと書いて、右の翼側にいる人たちに怒られはしまいかと不安にも思うのであるが、私は、唱歌の「君が代」が好きでは無い。
 歴史的には、長い間皇民では無かったウチナーンチュなのに、ある時から突然皇民化教育を受けて、そして、天皇のたに死ぬことを無理強いされた人たちのことを思うと、私はその体験者では無く、戦後日本の繁栄の恩恵を受けてきた者ではあるが、やはり、天皇を称える歌としての「君が代」を歌う気にはならない。沖縄の大地には、理不尽に死んでいった人々の無念が染み付いて、今なお、それが残っているように思う。なわけで、「君が代」が好きで無いということに対しては、情状酌量して欲しいのである。

 「君が代」と名前の由来が関係あるのかどうか知らないが、キミガヨランという植物がある。その見事な花の咲きっぷりには、初めて見たときは少し感動した。「今、少なくとも貴方の周りは、貴方の代です」と思うほど。キミガヨという名前にガッテンした。

 キミガヨラン(君が代蘭):添景
 リュウゼツラン科の常緑低木 原産分布は北アメリカ 方言名:なし
 キミガヨという名が唱歌の「君が代」に由来するのか、昔は君主であった天皇に由来するのかは不明。ただ、「君が代」の言葉の意味としては、「君主が栄える時」(広辞苑)とある。キミガヨランの花の咲いた様は見事で、いかにも「栄える時」ではある。
 リュウゼツラン科Yucca(イトラン)属の植物で、ユッカの仲間。で、本種もユッカと呼ばれることが多い。キミガヨランという名を、私は、じつは知らなかった。
 葉はユッカと同じく、細長く、厚く、先端の尖りはユッカより鋭い。全体の形状はしかし、ユッカでは無く、リュウゼツランに似る。葉の長さは60センチほどで、幹を囲むようにして群生し、地際のみに付く。中心部から長い(1〜2m)花茎を出し、その先端に多数の花をつける。花は大きく白い花で下向きに咲かす。開花期は春と秋。 
 名古屋産

 名古屋産の花序

 沖縄産
 記:島乃ガジ丸 2006.4.11  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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