キバナキョウチクトウ
 アンチハリウッドの映画館、桜坂劇場の会員になった時、映画招待券を1枚貰った。会員の特典は1600円の入場券がいつでも1000円であることと、毎月、スケジュール表が送られてくることだが、申し込みの際には他に、会員でない人でも使える1000円券3枚と映画招待券1枚を貰えたのである。先日、その招待券の期限が9月いっぱいということに気付いた。その時、期限まで1週間となっていた。
 1000円で観ることのできる自分が1600円の券を使うのは勿体無いので、会員でない誰かに譲ることにする。土曜日(9月24日)、たまたま図書館で友人のYに出会った。Yは八重山の小浜島の出身である。11月に八重山の旅を予定している私は、彼から八重山情報を仕入れようと思い、「夜、お前の家に行きたいが」と訊いた。その時、ついでに映画招待券を持っていき、彼にプレゼントしようとも思った。
 「いろいろ忙しくてな。今はちょっと約束できない。都合が良ければ、あとで電話するよ。」と彼は答えた。そして、結局、電話は無かった。彼のために用意したエビスビール6缶は私の胃袋に収まったが、映画招待券は行き先を失った。

 図書館へ行く道の途中、石嶺団地内の敷地に小さな公園があって、そこにキバナキョウチクトウが2本ある。だいぶ前から花が咲いており、既に写真は撮ってあった。Yと会ったその日、その傍を通った時にはしかし、写真の時よりもずっと花数が減っていた。「そうか、あの日が盛りだったのか。」と思う。早めに写真を撮っておいて良かったわけである。キバナキョウチクトウの花については、私はその適切な時期を得たということであろう。映画招待券はというと、あやうくその時期を失いかけていたのだが、期限の2日前になってやっと、同僚の女房によって、有効活用された。めでたしめでたし。

 キバナキョウチクトウ(黄花夾竹桃):添景
 キョウチクトウ科の常緑中木 原産分布は熱帯アメリカ 方言名:なし
 キョウチクトウの名は漢名の夾竹桃からきているが、葉が竹の葉に似て、その葉に夾(はさ)まれて、桃の花に似た花が咲くということであろう。キバナキョウチクトウにも同じく(黄花)夾竹桃と漢字を充てたが、こっちの方はじつは、細い葉はともかく、花はその色も形も、桃の花とははるか遠い。花は筒状で主に黄色。開花期は4月から11月
 高さ3mほどで庭の添景として使いやすい。葉はキョウチクトウに似て細い葉、さらさらと風に揺れると涼しげで良い。黄色の花も良いが、全体の雰囲気を楽しめる木。果実が薬用になり、葉から出る乳液は解毒作用があると『沖縄の都市緑化植物図鑑』にある。

 花  
 記:島乃ガジ丸 2005.10.9  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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