インドソケイ
 フラダンスを踊るハワイのきれいなお姉さんたち(そうでないお姉さんたちも、おばさんたちも)がよく耳に挿しているのがこの花。レイに使ったりもしている。プルメリアと言った方がピンとくる人が多いかもしれない。花は良い香りがする。
 職場の庭にも、よく訪れる親戚の庭にもこの木があって、私には身近な木。この花を手折ってその親戚の娘(二十代半ば)にプレゼントする。「プルメリアって言うんだ。いい匂いがするよ」と言う。彼女は手に取って「あ、そう。ありがとう」とあっさり。プルメリアの花はテーブルの上に置かれて、そのまま見捨てられる。ホワイトデーに花屋から買ってきた花をプレゼントしたらすごく喜んでくれたじゃないか、と間抜けなオジサンはわけもわからず悲しくなる。
 ガラスの小鉢に水を張って、女に見捨てられたプルメリアの花を拾い、浮かべる。プルメリアの一輪は、いわば路傍の花だが、小鉢の中で少し揺れながら健気に美しい。心寂しいオジサンもいくらか救われた気分になって、良く晴れた秋の空を眺めるのであった。

 インドソケイ(印度素馨):庭木・公園樹
 キョウチクトウ科の落葉中木 分布は中南米、熱帯各地 方言名:フランギニハ
 プルメリアという名で知られているが、プルメリア(Plumeria)は属名。プルメリア類はいくつもあり、沖縄でよく見かける白花のインドソケイもその一つ。別名オオバプルメリアとも言い、その通り葉が大きい。他にはベニバナインドソケイやマルバプルメリアなどがあって、それぞれ、その名の通りの特徴を持つ。
 花期は7月から11月。ソケイとは、モクセイ科にソケイ属というのがあり、ジャスミン類がその中に含まれている。インドから来たソケイのように良い香りのする木、ということでインドソケイとなったのだろう。
 沖縄へは、戦後ハワイから導入されたと文献にある。もっと古くから導入されていて方言名の無い木は多くあるのに、この木にはフランギニハという方言名がついている。ウチナーンチュ好みの何か特別な魅力でも持っていてなのか、何故だか不明。

 2005年11月25日追記
 フランギニハの出所が概ね判明した。プルメリアの英名の一つにfrangipanierというのがあり、フランギニハはそこからきていると思われる。アメリカ人がフランギパニエーと言っているのを、ウチナーンチュはフランギニハと聞いたのであろう。
 frangiは壊れやすいという意味があり、panierは昔のヨーロッパの、腰が風船のように広がった婦人服で、広げるために使われたクジラの髭で作られたカゴのこと。花の形がそのカゴのように見えて、また、花びらが柔らかいので、その名になったのだろう。
 英名は他にTemple treeともある。原産地で寺院の庭によく植えられているらしい。

 花

 桃色系

 桃色系の花
 記:島乃ガジ丸 2004.9.30  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
inserted by FC2 system