ホウライチク
 前回に続いて、今週も竹。竹だけでも松竹梅で縁起がいいが、今週紹介するのはさらに縁起のいい言葉のついたホウライチク。
 ホウライと聞いただけで何か目出度い感じを受けるが、それは宝来を連想するからであろう。ホウライチクのホウライはしかし、宝来では無く蓬莱、でも、蓬莱だって目出度い言葉なのだ。広辞苑によると、「仙人が住み、不老不死の地とされる霊山」とのこと。また、「新年の祝儀に三方の盤上に白米を盛り、上に熨斗鮑・伊勢海老・勝栗・昆布・野老・馬尾藻・串柿・裏白・譲葉・橙・橘などを飾ったもの。年賀の客にも饗した。」との意味も持つ。いずれにせよ縁起の良い言葉であることには違いない。

 私は新聞を取っていないが、新聞を全く読まないというわけでは無い。ほんの5分ばかし目を通す程度だが、年に10回くらいは読んでいる。どこで?給油所で。
 今年(2009年)3月の新聞に「ホウライチクと呼ばれる竹の花が咲いた。70年に1度しか開花しないといわれている。」との記事が載っていた。「70年に一度とは貴重な花であるな。」とは思ったのだが、見に行かなかった。
 何故見に行かなかったのか?場所は覚えて無いが、たぶん遠かったのだろう。今思えばしかし、ちょっと後悔。縁起の良い蓬莱という名の付く、縁起の良い竹の、滅多に咲かない花が咲いたのだ。七福神と鶴亀と松竹梅が一緒になったようなもの。

 ホウライチク(蓬莱竹):添景、防風、建材
 イネ科の常緑タケ類 中国南部原産 方言名:ンジャダキ
 名前の由来は『沖縄植物野外活用図鑑』に「蓬莱は中国伝承の神仙境の意でこの竹を賞賛して名付けられた」とある。この竹が特別美しいかどうかについては、私は不明。
 方言名のンジャダキは苦竹という意味になるが、苦竹(ニガタケ)はメダケ(女竹)の別称で、メダケは本種とは別属。メダケは竹の子が苦いらしいのでその別称があるらしいが、本種の竹の子が苦いかどうか不明。そもそも食えるかどうかも不明。
 高さ5m程度、径2〜3センチ。株立ち性の竹。防風、生垣、建材として利用されるらしいが、生垣としては私は見たことなく、建材も見たことない。ちなみに、民家の庭などで使われている竹垣の材料は主に真竹と唐竹。
 土壌を選ばない丈夫な竹。本種の変種に庭の植栽によく利用されている(私はまだ見たことないが)らしいスホウチク、ホウオウチクなどがあるとのこと。
 学名は、Bambusa multiplex Raeuschel ex ex JA et JH Schult.
 記:島乃ガジ丸 2009.12.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
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