ギンモクセイ
 桂花酒という酒を、私は子供の頃から知っている。母の友人であった、元はミャンマー人の、その頃は台湾に実家のあったRさんが台湾土産としてよく持ってきてくれた。子供の頃から酒に興味のあった私なので、Rさんの土産の紹興酒、老酒、五加皮酒など、来たものは全て味見した。私の親も子供に酔うほどは飲まさなかったので、味見程度。
 桂花酒も飲んだ。子供の頃から甘い物が苦手だった私は、紹興酒や五加皮酒の苦さ、老酒の辛さは許せても、桂花酒はダメだった。桂花酒は甘ったるい酒であった。
 Rさんとの付き合いはずっと続いたので、桂花酒は私が大人になっても、家にはたいていあった。母が好きだったみたいである。大人になった私は、桂花酒を飲むことは無かったが、料理には使った。肉や魚を焼く時、あるいは、肉と野菜を混ぜた煮物などの味付けに桂花酒は良い調味料となった。私は、子供の頃から料理好きでもあった。

 桂花酒は「中国酒の一つ。木犀の花の香りをつけた果実酒。」(広辞苑)のこと。ここでいう「木犀の花」がキンモクセイを指すのかギンモクセイを指すのか正確には知らないが、キンモクセイの漢名は丹桂で、ギンモクセイは銀桂で、どちらの花も漢名では桂花となる。また、どちらの花も甘い香りがする。たぶん、両方使われているのだろう。

 ギンモクセイ(銀木犀):添景・香木
 モクセイ科の常緑中木 中国原産 方言名:なし
 名前の由来についての資料は無いが、モクセイはモクセイ科だから。そして、キンモクセイの花は橙黄色なので金、ギンモクセイの花は白色なので銀とつく。
 高さは5〜6mほどで、よく分枝し、葉を密生する。庭の添景樹として使い良く、香木としても優良なのだが、気候が合わないのか、沖縄にはキンモクセイもギンモクセイもほとんど見ない。写真のギンモクセイは鉢物として職場にあったもの。
 花は白色で小さくあまり目立たないが、芳香がある。開花期、広辞苑に「10月頃」とあったが、私の写真は4月のもの、たまたま狂い咲きしたのか、あるいは、沖縄の気候では秋だけでなく、春にも咲くのかもしれない。正確なところは不明。
 キンモクセイとは同属で変種関係となる。沖縄では見たことの無いキンモクセイだが、倭国へ旅した際に何度も見ている。黄色の花、開花期は9〜10月。ちなみに学名、
 キンモクセイOsmanthus fragrans var. aurantiacus
 ギンモクセイOsmanthus fragrans Lour. var. fragrans

 花
 記:島乃ガジ丸 2010.3.17  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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