ブラシノキ
 昨年の春ごろだったか、私の住んでいる近辺で大々的な上水道工事が行われた。歩く分には特に問題は無かったが、車で出掛けるときには影響を受けた。家の前の路地を50mほど行き、突き当たった道の左約300m、右約200mが工事区間。工事は2、30メートルを一単位として行っており、一単位が終わるのには3、4日ほどかかっていた。
 工事該当道路へ出る前に看板がある。看板には今日の工事箇所が示されている。それを見て、右へ行くか、左へ行くか判断することになる。左右どちらにも大通りへ抜ける脇道は一箇所ずつあった。職場は左へ行くのだが、工事個所が脇道の向こう側にあれば、左へ曲がり、その脇道を使う。脇道の手前に工事個所があれば右へ曲がり、そこにある脇道を使う。左右どちらの脇道も細い路地なのだが、右の脇道はゴチャゴチャもしていて、相当の遠回りでもある。
 ある朝、車で出勤。今日の工事箇所は左の、脇道の向こう側となっていた。で、左へ曲がり、脇道へ入る。道の途中から渋滞。狭い道なので、対向車のせいかと車を降りて先を見ると、前の2、3台がUターンしようとしている。その先、道路工事で通行止めの看板があった。これが東京大阪なら、「何を脇道まで同時に工事をやってるんだ!アホか!お前ら!」などと怒鳴る声、作業員に掴みかかるオヤジ、けたたましく鳴らされるクラクションなどにもなろうが、沖縄ではそういうことは無い。皆、黙ってターン。しょうがないやと諦めるだけ。私も急いで車に戻り、Uターンする。運良く、後続車は無く、傍に他人の駐車場があって、それを無断借用して道を戻った。我ながら素早い判断。でも、時間はいくらか浪費した。出勤時間へはギリギリ間に合うかどうかとなった。
 戻って、今度は相当遠回りとなる脇道へ入る。急ぐ。が、ここでも途中から渋滞。その先が通行止めということは無いらしく、車は少しずつだが前には進んでいる。しかし、これで遅刻は確定。もはや諦めて、のんびりした気分に転換する。音楽を聴き、周りの景色を眺めた。

 小さな公園があった。その公園をちょっと過ぎた民家の庭に面白い花を咲かす木を見つけた。その時は、名前まで調べることはしなかったが、面白い花があることは覚えていた。先月、ふとそのことを思い出して、その道を散歩する。運の良いことにちょうど花の時期であった。

 ブラシノキ(刷子樹):添景・花木
 フトモモ科の常緑中木 原産分布はオーストラリア 方言名:無し
 花がブラシに似ているのでブラシノキ。属名をカリステモンというが、これは「美しい雄しべ」という意らしい。沖縄の緑化樹として利用されているカリステモンの仲間は、ブラシノキ、ハナマキ、シダレブラシノキ、マキバブラシノキ、シロバナブラシノキなどがある。このうちシロバナブラシノキは色で違いが判るが、残りは花の色や形態が微妙な違いで、区別が難しいらしい。ハナマキは花槇で、ブラシノキのほとんどが槇の木に似た細長い葉を持っている。シダレブラシノキはシダレハナマキとの別名もある。

 マキバブラシノキ(槇葉刷子樹):添景・花木
 陽光地を好み、成長は遅い。高さ3m前後。開花期は文献によってまちまち、3月から4月、3月から7月、3月から9月、などとあった。
 写真のものをこの種と判断したのは、沖縄にはマキバブラシノキとシダレブラシノキが多いらしいということ、開花期が今であること、枝がさほど垂れ下がってはいないことから、たぶんそうだろうとなった。後日間違いと判った時は、また、報告しましょう。

 花

 シダレブラシノキ(枝垂れ刷子樹):添景・花木
 陽光地を好み、成長は速い。高さ5m前後。開花期は5月から7月。その名の通り枝が垂れ下がって、その先に赤いブラシ状の花をつける。別名シダレハナマキ

 全体

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.5.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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