アマクサギ
 屋良朝苗という人を、五十代以上のウチナーンチュならほとんどの人が知っているであろう。琉球政府の主席だった人、沖縄の祖国復帰に尽力した人、沖縄県の初代知事となった人である。思慮深く、温和そうな人柄から県民に広く愛された人である。
 去年だったか一昨年だったかのある日、与儀の県立中央図書館から歩いて、最近、若者たちに人気のある栄町市場の傍を通る。そこからさらに歩いて10分ほどのところに、今は亡き屋良朝苗さんの家がある。そこがそうであることをたまたま知っているだけであって、そこに用があるわけで無い。ただ、沖縄の激動の時代を先頭に立って奮闘した人のことを思って、しばし感慨に耽ったのであった。

 その時、屋良さんの家から少し離れた民家の庭に、見慣れない木があり、見慣れない花が咲いているのを見つけた。写真を撮り調べる。ショウロウクサギとアマクサギという名の植物に該当した。どちらであるかは、両者とても似ているので判断ができずにいた。
 今年の10月にショウロウクサギを紹介した。その時に「ショウロウクサギの葉には毛が密生しているが、アマクサギの葉には毛がほとんど無い」ということを知り、先日、再び屋良さんの家から少し離れた民家を訪れ、確認した。

 アマクサギ(甘臭木):添景
 クマツヅラ科の落葉中木 九州南部以南、南西諸島に分布 方言名:クサギナ
 全国に分布するクサギの変種。クサギはその葉が臭いからその名があるが、本種はそれほど臭くないということからアマ(甘)なのだと思う。臭さが甘いということ。方言名のクサギナのナは菜っ葉の菜で、新芽や葉が食用になる。おひたしにして美味しいらしいが、私は未経験。いざとなったら食うことにしよう。
 クサギと、紹介済みのショウロウクサギは葉に毛が密生しているが、本種の葉には毛がほとんど無い。と文献にあったことから、写真のものをアマクサギだと判断した。毛がないので葉の色が濃く見える。匂いはショウロウクサギよりやや臭い。
 「果実は球形で光沢があり、青紫色に熟して、紅色の顎の上につく。」とはショウロウクサギも同様の説明があった。が、ショウロウクサギは顎の紅色が薄く、あまりきれいとは感じない。本種はそれが濃い。よって、本種の方がよりきれいに見える。
 高さについての記載が文献に無かった。私が見たものは3〜5m。白色で芳香のある小さな花は葉のつけ根や枝先に花序となって咲く。開花期は、文献に6月から9月とあったが、沖縄では今(11月下旬)も咲いており、2年前の写真は12月のもの。
 沖縄の山野に普通に見られるとのことだが、私が見たのは民家の庭。ショウロウクサギは公園などで多く見る。基本種のクサギは見たことが無い。
 学名、
 クサギ:Clerodendrum trichotomum
 ショウロウクサギ:C. trichotomum var. esculentum
 アマクサギ:C. trichotomum var. yakusimensis

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2007.11.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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