アカギモドキ
 テーゲー(大雑把という意味のウチナーグチ)で生きている私は、人との付き合いもテーゲーなので、出会った人の顔と名前を覚えるのを苦手としている。ただ、生き方に特徴のある人は覚えている。最近知り合った人たちだと女一人で庭師をしているTさん、東京で沖縄三線の先生をしているMさん、京都人なのに沖縄の文化を研究しているIさんなどは一度紹介されてすぐに覚えた。違いの判らない男である私は、初見で顔の特徴を捉えることができないので、顔だけでその人を記憶するのは苦手としている。
 男はともかく相手が女性の場合、紹介された数日後に再会して、「こんにちは」と挨拶されて、「あんた誰?」となると失礼である。そんな失礼を過去に何度もやっている。よほど美人でないと記憶に残らないのだ。「この人は竹内結子に似ている」とか、「麻生久美子に似ている」とか、「新垣結衣に似ている」とか女優の誰かに喩えられたなら覚えることができる。結子モドキ、久美子モドキ、結衣モドキなどと記憶する。

 アカギモドキはずいぶん前からその名前は覚えていた。喩えられている方のアカギが沖縄では有名で、周りに実物も多く見られ、私も子供の頃から知っている。その有名なアカギに似ているということで気にはなっていたが、なかなか実物にお目にかかれなかった。調べると、沖縄島に自生は無いとのこと。そんじょそこらには無かったのである。
 たとえ、そんじょそこらにあったとしても、違いの判らない男である私は「これはアカギモドキである」と判別できないであろう。アカギが元より美人では無い。美人でないものはなかなか覚えにくい。結子モドキ、久美子モドキ、結衣モドキも美人だから記憶に残る。元より、美人であればモドキを付けなくたって覚えるに違いない。
 アカギは美人でないが、数えきれないくらい会っているので覚えている。そんなアカギにモドキをつけても、1度会っただけでは覚えられない。美人じゃないし。

 アカギモドキ(赤木擬):添景
 ムクロジ科の常緑中木 宮古諸島以南、台湾、マレーシアに分布 方言名:アトラ、他
 名前の由来、資料が無く正確なところは不明だが、全体の姿や葉が三つに分かれているところなどがアカギに似ているから、と思われる。アカギはトウダイグサ科。
 原産分布が宮古諸島以南、台湾、マレーシアなどとなっていた。沖縄島の、少なくとも3つの公園で私は見ているが、沖縄島に元々自生は無かったようである。方言名はアトラの他、コキーナマ、コンピタキなどがあり、いずれも沖縄島周辺の方言では無く、宮古諸島か八重山諸島、あるいは与那国島などの方言だと思う。そんな響き。
 庭の添景樹として、また、耐潮風性が強いので海岸の防潮、防砂林に利用できる。花はあまり目立たない。白色で、開花期は4月から5月。実は赤く熟す。

 葉
 記:島乃ガジ丸 2012.2.13  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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