ヤマモモ
 アパートの南側には大家さんの建物があり、その間にはセンネンボク、チョウセンアサガオ、ヤドリフカノキ、クロトン、トベラ、カイエンナット、リュウキュウコクタン、サルスベリなどの木が植わっている。南側の窓を開けると、そこは林のようである。
 アパートの北側は、アパートの小さな畑と路地を挟んで隣家があり、その家にも塀沿いにいくつかの樹木がある。カキノキ、リュウキュウコクタン、ヤマモモ、マンゴー、アセローラなど。リュウキュウコクタンを除けば、果物の成るものばかりである。大家さんところではカイエンナットのみが食える果実であるが、それもあまりメジャーでは無い。大家さんは痩せている。北の隣家のご主人は太っている。体型の違いが樹木の好みの違いとなって現れているのだろうか。

 ヤマモモの実の時期を覚えていなくて、週に2、3回は隣家のヤマモモの傍を歩いていたのにも関わらず、実の成っているのに気付かずにいた。5月も後半になって、週末の散歩に出た際、隣家の塀沿いにハエが多く飛んでいるのを見て、ヤマモモの実の時期であることを思い出した。5月の初めから沖縄は梅雨。雨の日が長く続いて、地面に落ちたヤマモモの実は雨に流されるし、また、雨に打たれてはハエも活動しにくかったに違いない。その日は梅雨の晴れ間。ハエの喜びはしゃぐ様が、私にヤマモモの実の時期であることを教えてくれた。アスファルトの上にはたくさんの実が落ちていた。実の時期が終わりに近いこともあって、隣家のヤマモモはずいぶん大きな木なのではあるが、見上げたどの枝の先にも実はほとんど付いていなかった。

 隣家の人はヤマモモを収穫しない。植えてあるのに収穫しない。まあ、生食ではさほど美味しいものでは無いと私も思うが、ただ、果実酒にすると良い風味のものができる。十四、五年前に一度、知人の庭からヤマモモの実をたくさん頂いて作ったことがある。その時以来、果実酒はむろん、生のヤマモモを食うことさえ機会が無い。隣家のヤマモモは毎年、時期になるとその実を目にするが、他人のものを黙って食べるわけにもいかない。先日、旅先の名古屋で、ヤマモモの実がたわわに成っているのを見つけた。これもまた、黙って食べるわけにはいかなかった。
     
 ヤマモモ(山桃):公園・庭園
 ヤマモモ科の常緑高木 原産分布は関東南部、沖縄、台湾、他 方言名:ヤマムム。
 大木になるが成長が遅いので、民家の庭に植えられているのもよく見かける。萌芽力が強いので刈込みができ、樹形を整えることができる。半陰になるような場所でも生育し、また、乾燥に強く、比較的潮風にも強いので、植栽場所の適用範囲は広い。
 沖縄の山地に元々自生しており、馴染みの深い樹木の一つ。方言名のヤマムムは、ヤマモモを単に沖縄読みしたものでは無く、ウチナーンチュの実感から付いた名前と思える。他にヤンバルムムという方言名もある。山原のモモということ。
 モモと名があるが、桃とは科が違う。桃はバラ科。果実が桃の味に似ているのかというと、昔の誰かがそう思ったかもしれないが、私の感覚では全然違う。あるいは、昔の桃は今の水蜜桃などとは異なって、甘酸っぱかったのかもしれない。ならば、似ていると言える。その果実、生食もできるが、ジャムやゼリーにも加工される。結実期は4〜5月。 
 沖縄の実

 名古屋の実
 記:島乃ガジ丸 2005.6.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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