ウバメガシ
 ここ20年ばかりは、概ね2ヶ月に1回、私は散髪屋へ通っている。短く刈ってもらって、それが鬱陶しくなるまでほぼ2ヶ月というわけである。若い頃は、今よりも髪の毛の伸び方が速かったのだろうけど、散髪屋へ通う回数はしかし、今よりずっと少なかった。散髪屋へ行くのが面倒臭かったのである。貧乏だったので、散髪代を惜しんだということもある。高校から大学にかけては、肩までかかる長髪とさっぱり短髪(まれにではあるが、エーイ、鬱陶しい!と角刈りにもした)を繰り返していた。今でも散髪は面倒臭いと思っている。が、今はそう貧乏でも無いので、2ヶ月に1回となっている。

 「髪を切ったのにも気付かない」などと、女は男を非難したりするが、髪の毛がどんな形であろうと、その人がその人であることにはちっとも変わりが無いだろう。髪の形なんてどーでもいいこと、と男は(少なくとも私は)思うのである。
 私の場合は、長い髪の毛の時と短い髪の毛の時とで、中味はもちろん何の違いも無い。丸刈りにしたり角刈りにしたりして、サングラスをかけた場合にはヤクザのような雰囲気になるが、2ヶ月の長さの違い位では、見た目でもほとんど印象は変わらない。長い髪の私と短い髪の私とを比べた場合は、それは、「どんぐりの背比べ」となる。
 「ねえ、軽くパーマかけたんだけど、前とどっちがいい?」と訊かれてもだ。男にとってはどっちでもいいや、と思うことなのであるが、この場合、「どんぐりの背比べ」などと言ってはいけない。「どんぐりの背比べ」は、比べる価値も無いような、取るに足らないことに対して言うので、女性に向かって言ってはいけない。喧嘩になる。

 どんぐりは団栗と書き、主にブナ科の植物の果実のことを言う。果実は、毛糸の丸い帽子を被ったような形をしているのが特徴。沖縄にも団栗の成るものがいくつかある。オキナワウラジロガシ、イタジイ、マタバシイなど。今回紹介するウバメガシもそう。

 ウバメガシ(姥目樫):主木・添景・生垣・盆栽
 ブナ科の常緑高木 関東南部以南、伊平屋、伊是名などに分布 方言名:ウルフギ
 樫は、「ブナ科コナラ属の常緑高木の一群の総称」(広辞苑)で、本種もその一種。ウバメの漢字、広辞苑には姥目とあったが、姥芽、または姥女とする文献もあった。姥とは老女とか老婆とかの意味で、若葉が褐色をしているからウバメ(姥芽)というらしいが、老婆の色は褐色である、ということなのだろうか。別にウマメガシという名前もあり、これは、葉の形が馬の目に似ているところから馬目樫ということらしい。
 樫という漢字から想像できるように、材は堅い。本種はご存知、備長炭の材料として用いられ、叩けば金属音のする、すごく堅い炭になる。
 高さ10mほどになる。陽光地を好み、成長は遅い。乾燥地で生育が良く、耐潮風性も強いので海岸近くの植栽にも向く。花は目立たないが開花期は2月。
 他の樫の仲間同様、本種も果実が「どんぐり」と呼ばれ親しまれている。私は食したことは無いが、本種の果実は渋みが少なくて食えるとのこと。結実期は10〜11月。
 萌芽力が強く刈り込みが効くので、段作りにして主木となる他、生垣にも使える。

 葉
 記:島乃ガジ丸 2006.1.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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