タイワンモクゲンジ
 観光客には、那覇市の繁華街としては国際通りが有名であり、訪れる人も多かろう。デパートや土産物店など多くの店が立ち並び、県庁、市役所などの官庁や、公設市場、壷屋通りなどの観光スポットも近くにある。道行く人の半数以上は観光客ではなかろうか。
 国際通りは、10年ほど前まではウチナーンチュにとっても他を寄せ付けない繁華街であった。デパートがあり、映画館があり、パチンコ屋も飲み屋も多くあった。道行く人も、観光客よりウチナーンチュの数の方がずっと多かったと思う。
 今、那覇市で、ウチナーンチュの繁華街として人気があるのは那覇新都心となっているようだ。私が今住んでいる首里石嶺から実家のある泊へ行くには、新都心を横切った方が近くて、休みの日にたまに通ることがある。道はすごく混んでいる。で、荷物の無いときは、私は車を使わずバスかモノレールを利用し、新都心を歩く。

 数年前のこと、新都心から実家へ向かってのんびり歩いていると、我が母校、泊小学校手前の街路樹に、樹冠いっぱいにピンクの花のようなものをいっぱいつけている木を発見した。デジカメを持っていたので写真を撮る。
 先日、那覇市国場の小さな公園に、樹冠いっぱいにピンクの花のようなものをいっぱいつけている木を発見した。この頃、樹木図鑑を眺める機会の多い私は、これは図鑑にあったぞ。ピンクのものは確か、花では無く実だったような覚えがあるぞ。そういえば、数年前に泊小学校近くの道で、これと同じのを見ているぞ。などということを思い出した。
 木はタイワンモクゲンジであった。家に帰って、泊で撮った写真を探す。パソコンのどっかのフォルダに入っているはずであった。が、見つからない。「こんな写真どうでもいいや」と思って、「どうでもいい」ような名前のフォルダに入れたのであろう。数年前までの私は、「この木何の木」も、あまり気にならないようであった。

 タイワンモクゲンジ(台湾欒樹・台湾木槵子):添景・公園
 ムクロジ科の落葉高木 原産分布は台湾、中国 方言名:なし
 同じく中国原産のムクロジ科にモクゲンジがあり、同じく黄色い花が咲く。『沖縄の都市緑化植物図鑑』に「沖縄へは昭和50年代後半、台湾より導入」とあることから名前がタイワンモクゲンジとなったのであろう。
 同書には用途として公園、街路と記されてあり、確かに私が見かけたのも那覇市国場の公園と那覇市泊の街路であった。どちらも高さは5mほどであったが、成長すると高さは10~15mになるらしい。その高さでは民家の庭には使い辛い。であるが、成長はそう速くなく、庭の添景樹としての用途にも耐えると思う。何より見た目がいい。
 秋に咲く黄色い花もきれいだが、花の後にホウズキのような袋状の果実が、樹全体に鈴生りとなる。果実は熟すると桃色になって鮮やか。見応えがある。

 実
 記:島乃ガジ丸 2005.11.28  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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