タイサンボク
 あと2、3日もすればその大きな蕾が開くかと期待していたタイサンボクの鉢物が、開花を見せることなく突然、我々の前から消えて無くなったのはもう三ヶ月近くも前の話だが、突然どこへ消えたのかは今もって不明。社員の間では、犯人は社長ではないかという噂であるが、社長は個人的な話については秘密主義の人で、社員と酒を酌み交わすというようなこともしない人なので、おそらく、この先も真実が判明することは無かろう。

 タイサンボクは花が大きく、形もきれいで、なおかつ良い香りもする。香りまでは届けることはできないが、その大きな、きれいな花は写真に撮って、このHPで紹介しようと予定していたのに実に残念なことであると、その時は思ったのであった。
 ところが、職場のタイサンボクが忽然と消え去ってから1週間後くらいに、普段の散歩道では無い道を、ホントにたまたま歩いていたら、民家の庭に満開のタイサンボクを発見したのであった。私もたまにはこういった幸運に出会う。

 金持ちにしてとか、出世させてとか、玉の輿に乗せてとかの現世利益を求めるような神頼みを、私は嫌っており、そういうことを潔しとしない。そんなことを叶えるような神が、もしも存在したとしても、そんな奴など神といえるものでは無いと思っている。いわば、ちょっと神通力を持った化け猫か、化け狐の類(たぐい)であろうと思っている。そんな奴らの力など死んでも借りるものかと思っているのだ。罰当たりな人間なのである。
 化け猫か、化け狐の類も、自分らのことを馬鹿にしている私のことを苦々しく思っているに違いない。だから、私には幸運はあまりやってこない。これまでの人生では、幸運より不運の方がずっと多いのである。だが、まあ、化け猫か、化け狐の類も、真面目に生きている私にとことん意地悪はしないようだ。たまには、偶然タイサンボクの花を発見するというような幸運に巡り合う運命を、邪魔することをしなかったのである。

 タイサンボク(泰山木・大山木):庭園・公園
 モクレン科の常緑高木 原産は北アメリカ 方言名:なし
 泰山とは中国の名山の一つで、古代、ここで封禅という儀式が行われたとある。封禅とは天子(中国の皇帝)による祭祀のことともある。その泰山という名がついたタイサンボクはしかし、北アメリカ原産。前219年の始皇帝やら、前110年の前漢の武帝やらが封禅の儀式を行った山とタイサンボクとに、いったい何の関わりがあるのだろう。
 泰山はまた、「死者の集まる山ともいわれ」ていると広辞苑にある。タイサンボクは「死者の集まる山」に何らかの関わりがあるのだろうか。
 高さは10mほど。樹形も整っており、庭の主木にできる。葉は革質で大形の楕円形。大きな白い花は枝の頂につき、芳香を放つ。初夏に開花する。
 ※名前の由来については、じつは、そういった文献も読んではいるが、あんまり学問的な深入りはしないでおこうと思っている。後々、手に余ることになるだろうから。

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.8.14  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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