シマサルスベリ
 倭国のあちこちには野生も生息していて、倭人には古くから馴染み深いサルであるが、沖縄には、動物園や、またはペットとして移入されたものを除けばサルはいない。
 日光サル軍団とか太郎次郎とか猿回しとかで、倭国では日常的にもサルが身近にいる。沖縄にはしかし、そういったものも無い。なわけで、サルというと、十二支の申、桃太郎のサル、サルカニ合戦のサルくらいでしかウチナーンチュには接点が無い。いわば、十二支にある寅、辰など、沖縄に生息しないものと同程度の距離にサルはいる。

 サルスベリはハゴーギ、シマサルスベリはシルハゴーギと沖縄では呼ぶ。その意味は下記の説明文に書いてあるが、サルとはまったく関係ない名前となっている。
 シマサルスベリは、真っ直ぐな幹と傘状になる樹冠とで、庭木としては形良く、使いよい木、庭にあって、凛とする。なのであるが、花の色がそうきれいでは無いせいか、花色のきれいなサルスベリの方が、近頃は民家の庭に多く使われているようだ。 

 シマサルスベリ(島百日紅):公園・庭園
 ミソハギ科の落葉高木 原産分布は九州以南、中国南部 方言名:シルハゴーギ
 サルスベリという名は、幹がつるつるしていて、木登りの上手なサルも滑るから、というのはよく知られているが、方言名のハゴーギ(ファゴーギとも)は汚い木という意味。幹の皮がところどころ剥けたように見えるのが“汚い”とウチナーンチュは感じたのだろう。沖縄にサルはいないので、サルが滑るなんてことも連想しなかったのであろう。本種は花の色が白いのでシル(白い)ハゴーギということであろう。
 漢字の百日紅は、百日間も花が咲き続けるということから。四季の変化のはっきりした倭国では、長い期間咲き続ける花は少ないのかもしれないが、亜熱帯の沖縄にはいくらでもある。年中咲いているのも多くある。よって、サルスベリに特別、長い期間咲き続ける花という印象も無い。サルスベリは6月から9月、本種は7月から11月が開花期。
 シマサルスベリの花はちょっと濁ったような白色で、あまりきれいとは感じない。が、幹が真っ直ぐ伸びて傘状になる樹形はきれい。庭木として十分役に立つ。

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.11.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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