ピンクテコマ
 日曜日は概ね、散歩をかねてアパートから4番目に近いスーパーへ買い物へ行く。その途中の民家にこの時期(5〜6月頃)、見事に花を咲かせる木がある。何年も前からそれに気付いており、花の盛りの写真も撮ってあるのだが、図鑑にそれらしきものが見当たらなくて、何の木だか不明なままであった。
 高さは6〜7mあり、樹形は概ね円錐形、その上から下までの枝先に白い花がびっしりとついている。葉は落葉していて花だけなので樹全体が白く見える。花1個の形はラッパ状で、割と大きめ(径5〜6センチ)。多数が群れて咲いている。
 花の形、大きさからモモイロノウゼンやピンクテコマの仲間であろうと推測して、今回はちょいと気合を入れて調べてみた。

 『沖縄園芸植物大図鑑』にモモイロノウゼン、『沖縄の都市緑化植物図鑑』にピンクテコマとモモイロノウゼンが紹介されてある。3つとも互いによく似ている。今回調べるものは、花色は白で、毎年きっちり落葉し、落葉した枝に花をびっしりつけるという特徴がある。しかし、それに合うものは、少なくとも図鑑の写真には無い。
 写真は無いが、ピンクテコマの説明文に「落葉時に開花するが、常緑のまま開花することもある。」とあり、また、「白花種もある」ともあった。よって、今回調査対象の樹木はピンクテコマの白花種ということに、テーゲー(およそ)だが決定した。
 そこで、「あっ、ピンクテコマをまだ紹介していない。」ということに気付く。ピンクテコマはだいぶ前に写真は撮ってある。何箇所かで撮ってある。ただ、私がピンクテコマだと認識している個体はいずれも常緑のまま開花していて、花数も少なかった。

 ピンクテコマ(Pink Tecoma):公園・花木
 ノウゼンカズラ科の常緑高木 原産分布は中南米 方言名:なし
 『沖縄園芸植物大図鑑』にモモイロノウゼンが紹介されている。しかし、そこに記されている学名は、『沖縄の都市緑化植物図鑑』のモモイロノウゼンとは異なり、また、ピンクテコマとも違う。ただ、英語名Pink Tecomaとあり、ピンクテコマの名はそこからきているものと思われる。別名キダチベニノウゼン(木立紅凌霄)。
 『沖縄園芸植物大図鑑』にはSalvador Pink Trumpetという英語名もあった。サルバドルのピンクのトランペットということだが、Salvadorはエルサルバドルのこと。モモイロノウゼンとともにエルサルバドルの国花となっているらしい。
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』に落葉樹とあったが、私がピンクテコマだと認識している個体はいずれも常緑、同書にも「常緑のままの場合もある」とある。
 成長が早く、高さ10mになるが、自然に整った形になるので民家の庭にも使える。花は朝顔形で、色は淡桃色。開花期は3月から5月。
 モモイロノウゼンとよく似ている。私は長い間両者の区別がつかなかった。花に違いはほとんどなく、葉が革質で先端が鈍形、樹形はほっそり円錐なのが本種、葉がやや革質で先端部が尖り、樹形はがっしり円錐なのがモモイロノウゼンと判断した。
 学名、ピンクテコマ Tabebuia rosea (Bertol.) DC. 
    モモイロノウゼン Tabebuia pallida indl Miers

 花

 実

 白花種

 白花種の花
 記:島乃ガジ丸 2009.6.15  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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