モンパノキ
 昨日(11日)は模合(女房も認めざるをえない飲み会)の日。一ヶ月ぶりのメンバーと世間話をし、飲んで、食って、12時前には帰る。今回の模合のことはおそらく思い出すことは無いだろう。何の事件も無く、印象に残るようなことが一つも無かったからだ。模合は概ねこのようなもの。まあ、平凡な人生を送っているメンバーなので、事件も起こり難いのだろう。
 先々月4月の模合は印象に残るものであった。模合メンバーの一人が家を構えたので、その新築祝いを兼ね、その新居で模合が行われたからだ。彼の奥さんにも久々(十年ぶり位)にあったし、新居が、豪華なヨーロッパ調のインテリアで、私には少し居心地が悪かったことなどが印象に残っている。その日はまた、模合とは別に記憶に残っていることがもう一つある。

 模合の場所は那覇市小禄。私の住んでいる首里石嶺は那覇市の北の端(はじ)、小禄は南の端、同じ那覇市だが、車で30分ほどの距離。車で30分といっても、飲み会なのでもちろん車を持っていくわけでは無い。モノレールを使う。壺川駅で降りて、奥武山(おうのやま)公園を散策する。広い公園を、植物の写真を撮りながら歩き、奥武山公園からすぐ近くにある、これもまた大きな漫湖(倭人には発音しづらいだろうが、マンコと読む)公園へ渡る。そこでもまた、写真を撮りながらブラブラ散歩。ジョギングコースを人々に追い抜かれながら歩く。
 突然、声を掛けられた。友人のTだった。昨年の年末に会って以来の顔。
 「こんな所で何してる?」
 「いや、これから模合なんだが、場所が小禄なもんだから、ついでにめったに来る機会の無い公園の散歩、ホームページ用の写真を撮りながら。」と答え、
 「そっちこそ、何だってジョギングなんかしてるんだ。」と問い返す。しかし、「何だってジョギング」の答えについては聞かずとも見当がついた。久しぶりに見るTの体はずいぶんとブヨブヨになっていたのだ。去年の暮に見た時も太っていたが、さらに体重が増したようである。

 体重が増え、血圧が高くなり、健康に不安を感じて、去年、煙草を止め、今年からは酒も止め、最近からジョギングを始めているというTと、お互いの肉体の衰えなどについてしばしユンタク(おしゃべり)した後、彼はジョギングに戻り、私は散歩を続ける。その直後に、川沿いの植え込みにモンパノキの花が咲いているのを見つけた。Tのまーるい大きなお腹が目に強く焼きついた後、モンパノキの花が目に飛び込んできた。特にきれいな花というわけでは無いが、印象に残る。これからは、モンパノキを見るとTのことを思い出す、ってことになるかもしれない。
 まだ涼しい4月に、びっしょり汗をかいていたT、努力家の彼はきっと、今年の年末には元の、スマートだった頃の体型に戻っているに違いない。健闘を祈る。

 モンパノキ(紋葉樹):主木・添景
 ムラサキ科の常緑中木 原産分布は沖縄、台湾、東南アジア 方言名:ハマスーキ
 成長すれば高さ5mほどになる。『新緑化樹木のしおり』や『沖縄の都市緑化植物図鑑』では中木として分類されているが、高木の見事な姿をしたモンパノキを民家の庭で何度か見かけたことがあるので、ここでは、高木主木の範疇にいれた。
 最も耐潮風性の強い植物の一つで、海岸端に植栽されることが多い。海岸には自生のもの多くある。自然に傘型のきれいな姿になるので、寄植えよりは単独植えに向く。
 2月から6月にかけて開花期ではあるが、花は特に観賞するほどのものではない。
 方言名には他にガンチョーギーともある。ガンチョーは沖縄口で眼鏡のこと。眼鏡をメガネと訓読みせず、ガンキョウと音読みして、沖縄風にガンチョーとなった。モンパノキが木材として水に強いので、水中眼鏡のフレームに使われたらしい。

 花

 花接写
 記:島乃ガジ丸 2005.6.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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