モクタチバナ
 先月(2010年1月)、奥武山公園をちょっと散歩した。元同僚のTさんの家に行くついでのこと。Tさんの家は奥武山公園の東端から徒歩15分程度のところにある。
 東端からは15分だが、私は西端から入った。奥武山公園は広い、しかも私はまっすぐは歩かない性癖を持っている。右へ行ったり左へ行ったり、上へ行ったり下へ行ったり、前へ進んでは後ろへ戻ったりして、東端から西端まで約2時間かかった。
 奥武山公園は去年の8月にも散策している。その時にモクタチバナとリュウキュウガキを見つけた。そのものを見てそれだと判ったのではなく、名札がついていたので判った。後日調べると、どちらも10月から11月には実が付いているとのこと。「実の写真を撮りに行かなくちゃあ。」と思ったのだが、忙しくて行けなかった。

 1月になって、時間に余裕ができて、先ず行かなければならない所はTさんの家。Tさんの小学校4年生の息子が12月に亡くなった。その告別式、初七日に顔を出せなかったので、遅ればせながらの線香をたてに。そのついでに奥武山公園。
 子供を失くした親の気持ちを、子供のいない私は分からない。最も大事にしていたものを失くした気分、辛いんだろうなと想像するだけだ。
 奥武山公園のモクタチバナにはまだ実が残っていた。

 モクタチバナ(木橘):添景・生垣
 ヤブコウジ科の常緑高木 分布は四国以南、南西諸島、他 方言名:アフツ、他
 タチバナ(橘)を広辞苑で引くと「食用柑橘類の総称」とある。ミカンもユズもシークヮーサーもタチバナというわけだ。タチバナ(別名ニホンタチバナ)という種もある。ミカン科ミカン類の常緑低木とのこと。本種はミカン科でも無く、食用柑橘類でも無いのだが、見た目が似ているのであろう。
 高さは10m、成長は早く、萌芽力が強い。日当たりの良い場所で良く生育するが、半日蔭にも耐える。耐潮風性も強い。分布は他に、台湾、中国南部など。
 花色は白で、開花期は3月から7月。果実は赤色から暗紫色に変わる、結実期は10月から11月。材を焼いた灰は藍染の添加剤、葉は緑肥、実は救荒食料。

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2010.1.21  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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