マダケ
 先週、新春第一週目にアシタバを紹介した。明日という言葉が新春に相応しいと思ったからだが、新春第二週目に紹介するのは竹、松竹梅と謳われるほどに縁起の良い植物で、門松にも使われている、いかにも正月らしい植物だから。
 竹の中でも今回紹介するのは真竹。真の竹というからには、竹の王者で、そういう意味での「竹の中の竹」であろうと思ったからだが、調べるとそうでもなかった。真とは、よく見る竹、どこにでもある普通の竹という意味での「竹の中の竹」ということのようである。ただ、その姿はすらりと高く、竹の王者といっても差し支え無いと私は思う。
 「すらりと高い」マダケ、沖縄にも分布するらしいが、実は私は、沖縄ではその姿をそれであると知って見たことは無い。沖縄では見ていないが、倭国へ旅行した際に何度も見ている。倭国の公園は概ね親切なので、竹にも名札が付いていたりする。それで、「あーこれがマダケか、これがモウソウチクか」と私も認識できるのだ。「最も普通の竹」と広辞苑に書かれているマダケは、あちこちでお目にかかっている。

 「沖縄ではお目にかかっていない」マダケ、実は私は、たとえお目にかかったとしてもそれがマダケであると判断できる自信が無い。沖縄で普通に見られるダイサンチクとよく似ているらしいのだ。両者の区別が私にはできないと思う。
 ということで、写真は鹿児島在の友人Nに頼んだ。心優しいNは、ちゃんとマダケを探してくれて、写真を送ってくれた。二ヶ月近くかかったが、彼によると、マダケとモウソウチクは見た目が似ているとのことであった。私の調べでは、マダケよりモウソウチクの方が大きく、モウソウチクの葉には斑点がある。それを伝えておけば良かった。

 マダケ(真竹):防風林・添景
 イネ科の常緑竹類 原産分布は関東以南、沖縄、他 方言名:カラタキ
 広辞苑に「最も普通の竹で関東以南の各地に、竹やぶを作る。」とあり、最も普通ということから真とついたと思われる。マタケと濁らずに言うこともある。
 方言名のカラタキは唐竹という意味だが、和名の唐竹(カラタケ・トウチク)は「中国渡来の竹。笛などをつくった。」(広辞苑)のこと。棹の径3〜4センチの細い竹で、日本庭園などで竹垣材として多く用いられているもの。
 稈は高さ8〜20メートル、径は10センチ、各節に2本の環状隆起線がある。孟宗竹の無い沖縄では最も大型の竹の一つ。棹は建築材、タケノコは食用、棹の皮も有用。
 酸性土壌を好むとのことで沖縄島北部の赤土に適するようだ。私の住む那覇近辺ではあまり見ない。沖縄のマダケのタケノコを私は食ったことが無い。沖縄産タケノコがスーパーで売られているのを見たことが無いからだ。沖縄の赤土は粘土質で固く、その中で成長するタケノコもまた堅くなるのではないかと、これは私の推測。
 琉球王朝時代、「公儀用として王室のために用い、また鹿児島に移出した。」(沖縄語辞典)とのこと。どんな公儀なのかは不明、行事の際の儀式とか、王府、王族関係の建築材としたのか。なお、鹿児島は薩摩、移出は輸出の間違いだと思われる。
 学名は、Phyllostachys bambusoides Sieb. et Zucc
 
 葉と鹿児島の空
 記:島乃ガジ丸 2009.12.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
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