ダイサンチク
 抽象画的観察力を持っている私は、と言って、別に威張っているわけでは無い。物事を大雑把にしか見ない、つまり、観察力が粗いという意味。で、そんな私は、これまで目にした竹の種類を、特徴のあるナリヒラダケ(葉に斑がある)、クロチク(棹が黒い)、キンシチク(棹に斑がある)を除いては、全てひっくるめて竹という認識でいた。
 散歩して、竹を見つけて、写真を撮ったりしているうちに、大きな竹と小さな竹に分類できるようになり、図鑑を見て、いろんな種類があることを知った。
 いろんな種類の中には似たようなものがあり、それらは未だに区別がつかない。数年前にマダケを紹介したが、その時は、「大きな竹はマダケ」という認識に拠っており、今年になってそれが間違いであることが判った。その記事は削除した。

 ダイサンチクは棹の高さ、太さ共にマダケとほぼ同じ、写真を見てもどれがどれやら大雑把な私には区別がつかない。ただ、文献に「沖縄本島の屋敷内に見られる竹はほとんどこの種です」という説明で、ダイサンチクが紹介されている。
 近所の小学校の庭の一部が今年になって清掃され、そこにあった大きなゴミ置き場が別の場所に移された。ゴミ置き場の後には背の高い竹が生えている。遮るものがなくなって根元からその姿が見えるようになった。根元から1メートルの高さに名札があった。ゴミ置き場に隠れて今まで見えなかった名札には、ダイサンチクとあった。
 「あー、これがダイサンチクか。」となった。が、親戚の庭にあったのも、友人の庭にあったのも、これと同じなのかどうかは、大雑把な私には判別できないでいる。

 ダイサンチク(泰山竹):景観、添景、食用
 イネ科の常緑タケ類 中国、東南アジア原産 方言名:マータク
 泰山は「たいざん」と読み、広辞苑によると「中国の名山。山東省泰安の北方にあり、五岳中の東岳。」のことで、「古来、天子が諸侯をここに会し、封禅の儀式を行なった。また、死者の集まる山ともいわれ、・・・」とのこと。これと本種がどういう関係かについては不明。「名山」ということから「名竹」という意味かもしれない。既にこのHPで紹介しているタイサンボクも泰山がつくが、これも不明のままにしてある。
 方言名のマータクは、漢字で表すと真竹となって、倭国で多く見られるマダケと混同してしまうが、「いかにも竹らしい竹」といった意味であろうと思われる。
 別名コウコウダケ(孝行竹)と言う。「母竹の外側に竹の子を出し親竹を保護しているように見えるので」(寺崎日本植物図譜)とのこと。その通り、株立ち性の竹。
 高さは、文献によって6〜8mとするもの、10〜20mとするものがあった。私が見たものはおよそ8m、環境の良い(風当たりの弱い)ところではもっと伸びそうだ。
 径10センチ内外、棹は濃緑色をして艶があってきれい。庭の景観として用いられ、材は旗竿などに利用されたとのこと。竹の子は食用となるが、「あくが強く美味でない」そうで、他に食うものが無い時にしょうがなく食う、といったものであろう。
 別頁で紹介しているキンシチクは本種の変種。
 学名は、Bambusa vulgaris Schrad.
 キンシチクは、Bambusa vulgaris Schrad var.

 棹

 葉
 記:島乃ガジ丸 2009.10.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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